調理を始める前に
料理品目名:しまくとぅば(沖縄方言)での表記していますが、地域によって呼び名が異なる場合があります。
分量・計量:四人分を目安に表示してありますが、料理によっては作りやすい単位で表示してあります。
計量の表記は小さじ一杯-5cc、大さじ一杯-15cc、1C-200ccで粉類は押さえないで、液体は盛り上がらないよう擦り切りで正確に計ってください。
豚だし
- ■ 材料
- 豚だし骨(または肉)
- 100gあたり1Cのだしが取れる。
- [ 仕上がり 10Cの目安 ]
- 豚だし骨(または肉) 1kg
- 水 10C
- 煮減り分の水 適宜
- ■ 作り方
- ①骨は脂や髄の部分を丁寧に取り除き、水で洗い流す。肉はさっと水洗いする。
- ②鍋に湯を沸かし①の骨をさっと湯を通し、こぼす。
- ③寸胴鍋または、深鍋に骨と分量の水を入れ、水位の高さを確かめる。煮減り分の水を加え、火にかけ、沸騰したらアクを取り、火を弱めて、小さな沸騰を続ける位の火加減で約2時間煮る。
- ④蒸発量(煮減り分)が多ければ、水を適宜で加えながら、仕上がり量の高さを確認する。
- ⑤骨を取り出し、汁をこす。
- ※蓋はしないで煮る
※髄をつけたままだしを取るとこってりした濃いだしが取れる。
※肉からだしを取る場合は使う目的に合わせて、時間を加減する。
かつおだし
- ■ 材料
- かつおぶし6g――1Cのだしがとれる。
- [ 仕上がり量 4Cの目安 ]
- かつおぶし(厚削り) 24g
- 水 4C
- かつおぶしが吸水する水 約1C
- ■ 作り方
- ①鍋に分量の水を入れて沸騰させ、かつお節を入れて火を弱め、小さな沸騰を続ける火加減で、2~3分煮て火を消し、しばらく置く。
- ②①を布ごしする。
- クファジューシー
- 豚肉や野菜などを具に豚だしで炊く炊き込みご飯
クファジューシー
- ■ 材料
- 米 2C
- 豚だし 2 1/4~2 1/2C
- (または豚だし + かつおだし)
- 塩 小さじ1~1 1/2
- 醤油 大さじ1~1 1/2
- 豚三枚肉 150g
- 人参 30g
- 干し椎茸 2枚
- かまぼこ 30g
- ラード 小さじ1~2
- 青ねぎ 3~5本
- ■ 作り方
- ①米は炊く30分前に洗い、ザルに上げて水気を切っておく。
- ②豚三枚肉は丸ごと茹でて、あられ切り(5mm角)にする。
- ③人参、戻した椎茸、かまぼこもあられ切りにする。
- ④炊く直前に釡にだし、塩、醤油を入れて混ぜ、①、②、③を入れて炊く。
- ⑤炊き上がったらラードを加えて混ぜ、小口に切った青ねぎを混ぜて蒸らす。
■だしは熱いものを使うと米に芯が残ることがある。
■簡単なウサチ(酢の物)を添えると良い。
●行事料理、祝い料理に用いられる「クファジューシー(普通に炊きあげたもの)」や、日常食の「ヤファラジューシー(ボロボロジューシー)」(雑炊のようにやわらかく仕上げたもの)」がある。行事関連、ウンケージューシー(お盆のお迎えに用いる=葉生姜、生姜を使う)、トゥンジージューシー(冬至=田芋または里芋を入れる)
●中に入れる具により「チンヌク(里芋)ジューシー」「フーチバー(ヨモギ)ジューシーなど」いろいろある。
- フーチバー(よもぎ)ジューシー
- よもぎの香り高いヤファラジューシー(雑炊)
フーチバー(よもぎ)ジューシー
- ■ 材料
- 米 1C
- 豚だし・かつおだし 8C
- 豚三枚肉 100g
- フーチバー(よもぎ) (正味)50g
- 塩 小さじ1 1/4~2
- 醤油 大さじ1
- 油 小さじ2
- ■ 作り方
- ①米は30分前に洗ってざるに取っておく。
- ②フーチバーは、葉をつみ取り、水の中でもみ洗いしてアク抜きをする。
- ③豚三枚肉は丸ごと茹でて短冊切りにする。
- ④釜に①の米と分量のだし、豚三枚肉、フーチバー、塩、醤油、油を入れて軽く混ぜる。
- ⑤④を強火にかけて沸騰させ、アクを取ったあと、弱火で静かに煮る。とろみがしっかりついたら出来上がり(米とだしが一体になった状態)。
●途中軽くかき混ぜると冷めた時に米と水分が分離しない。
●炊きすぎに注意(米に花が咲く)。
●だしは熱いものを使うと米に芯が残ることがある。
●フーチバーの代わりにイーチョウバー(ういきょう)やカンダバー(葉かずら)、ンジャナバー(ニガナ)を使ってもおいしいジューシーが出来る。
- 中身のお汁
- 中身(豚の胃、大腸、小腸)を具にした澄まし汁
中身のお汁
- ■ 材料
- 中身(市販のもの) 250g
- 干し椎茸 2枚
- 豚だし 2 1/2C
- かつおだし 2 1/2C
- 塩 小さじ1 1/4
- 醤油 少々
- ヒハツ 微量
- (またはおろし生姜)
- ■ 作り方
- ①中身の臭みをとるために、鍋に中身と、たっぷりの水を入れ火にかけ沸騰後、にごりが出たらこぼす。臭いがとれるまで5~6回繰り返す。
- ②鍋に水を入れ中身が十分やわらかくなるまで煮る。
- ③②の中身を幅8㎜位に切り、再び茹でこぼす。※1
- ④干し椎茸は水で戻して薄切りにする。
- ⑤鍋に分量のだしを煮立て、中身と椎茸を入れ、塩で調味して、醤油を少々入れて吸物味に調え、弱火でしばらく煮て味をしみ込ませる。
- ⑥椀に⑤を盛り、ヒハツをふりかけるか、またはおろし生姜を入れる。
※1 中身は切った後、再度湯洗いするとなお良い。
■生の中身を使う場合、脂を丁寧に取り、小麦粉やおからでよくもみ洗いして、湯で丁寧に洗う。おからをまぶして一晩おくと臭みがとれる。
●下処理を十分にし、臓物の臭みを取り、おいしいだしで仕上げる高級な料理。
●高級客膳料理として用いる場合は、中身のみ、あるいは中身と椎茸で作る。
●具にこんにゃく、カマボコを入れることもある。
- イナムドゥチ
- 具の多い白味噌仕立てのとろみのついた汁物
イナムドゥチ
- ■ 材料
- 豚三枚肉 100g
- 干し椎茸 2枚
- こんにゃく 100g
- 厚揚げ 60g(薄揚げなら2枚)
- カステラかまぼこ 50g
- 豚だし 2C
- かつおだし 2C
- 白味噌(甘口) 80~106g
- ■ 作り方
- ①豚三枚肉は丸ごと茹で、幅1cm、長さ4cm位の短冊切りにする。塩を振ってしばらくおく。
- ②①の三枚肉を沸騰湯に入れてさっと茹で、さらに水洗いをする(塩気と脂気を取り除く)。
- ③干し椎茸は水で戻し、4cm長さの薄切りにする。
- ④厚揚げは油抜きをし、全ての材料を短冊切りにする。
- ⑤鍋に分量の豚だし、かつおだしを入れて火にかけ、豚三枚肉と椎茸を入れてしばらく煮て、次にこんにゃくと厚揚げを加えて白味噌を溶き入れる。(2回に分け、半量は仕上げ前に入れると、なお良い。)
- ⑥弱火で10分程度煮て、材料に味がしみこみ、少しとろみがついたら、カステラかまぼこを入れて仕上げる。
■気候によって、とろみを加減する(寒い時は濃いめにするとよい)
●豚肉、椎茸、カステラかまぼこ、白味噌と高級食材で作る祝い料理。
●「猪もどき」に由来し、かつては猪が使われたと思われる。
●類似の料理に「鹿ムドゥチ」があり、澄まし仕立てにする。
●「イナムルチ」と呼ばれることもある。
●具だくさんで白味噌仕立てのこってりした味が特徴。
- いか墨のお汁
- いかの墨を入れた真っ黒いコクのある汁物
いか墨のお汁
- ■ 材料
- 白いか(アオリイカ) 500g
- 豚肉 150g
- ニガナ 150g
- いか墨 大さじ1~2
- 水 6C
- 塩 小さじ1
- ■ 作り方
- ①白いかは墨袋をつぶさないように取り出して身を開き、うす皮をむいてきれいに洗う。身も足も幅1.5cm、長さ5cmに切る。
- ②豚肉は生のまま一口大の薄切りにする。
- ③ニガナは洗って、適当な大きさに切る。
- ④鍋にニガナを敷き、その上に白いか、豚肉を入れ、分量の水を加えて火にかける。煮立ってアクが出たら丁寧に取り除き、弱火にして、いかがやわらかくなるまで1時間位煮る。
- ⑤煮汁が5カップ以下になるようなら、不足分はかつおだしで補い、塩で味を調え、最後にいか墨を混ぜる。※1
※1 いか墨は長く煮ると効力が落ちる。
●豚肉は、赤肉、グーヤヌジー、豚肩ロース、もも肉など脂身が少ないものが良い。
●サギグスイ(下げ薬)といわれ、のぼせ、頭痛、産後の回復に効くといわれている。
- イラブーシンジ(エラブ海蛇の煎じ汁)
- イラブーを長時間煮て作るヌチグスイ(命の薬)の煎じ汁
イラブーシンジ(エラブ海蛇の煎じ汁)
- ■ 材料
- イラブー(燻製) 1本
- 米ぬか 適量
- 昆布 1枚
- 水 15C
- ■ 作り方
- ①イラブーは皮を直火でそっとあぶり、表面の脂を浮かせる。米ぬかをぬるま湯でこね、イラブーにまぶしながら手でこすって表面を丁寧に洗う。これを包丁かのこぎりで6cm長さに切る。
- ②昆布は洗って戻しておく。
- ③①のイラブーは、切り口を上にして立てて束にし、まわりをはずれないように昆布で巻き、更にたこ糸でくくる。
- ④鍋に③のイラブーと水15Cを入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして汁が1/3量(約5C)になるまで7~10時間ゆっくり煮る。蓋はせず、アクは丁寧にすくい取る。
- ⑤イラブーを取り出し、煮汁はこしておく。
■シンジとして飲む場合は1人当たり50~80cc位が適当。
■イラブーは棒状あるいは渦巻き状の燻製が売られている。
■滋養強壮剤、不老長寿の薬として珍重されている。
■昔は冊封使、薩摩奉行に、近年は皇族方の饗応に用いられた。
- イラブーのお汁
- イラブー、豚足、昆布をイラブーシンジで作るお汁
イラブーのお汁
- ■ 材料
- イラブーシンジ 適量
- 水 7C
- イラブー 8個
- 昆布 1枚
- 豚足(チマグー) 4個
- 水 10C
- 泡盛 大さじ3
- 塩 少々
- ■ 作り方
- ①イラブーシンジをとった後のイラブーは、昆布をはずし、イラブー1個ずつの腹側(うろこ模様のない場所)に包丁目を縦に入れて開き、中のわたと骨を丁寧に取り除く。わたと骨はだし袋に入れておく)。
- ②①をくるくる巻いて形を整え、身がほぐれないように糸で軽く結ぶ。
- ③昆布は水で戻し、結び昆布にする。
- ④鍋にイラブーシンジとくるくる巻いたイラブー、昆布、水を入れて火にかけ、沸騰後弱火にしてアクを取りながら約2時間煮込む。途中昆布が軟らかくなったら取り出す。
- ⑤結び昆布は、ひと結びずつに切っておく。
- ⑥豚足は、湯洗いし10分位茹でておく(毛が残っている時は熱いうちに毛抜きで抜く)。
- ⑦鍋に⑥と水、泡盛を入れ火にかけ、沸騰したら弱火にし、アクを取りながら2~3時間煮込む(皮が軟らかくなり、骨がはずれる位)。
- ⑧汁はこしておく(コラーゲンを含む)。
- ⑨④のイラブーの汁と⑧の豚足の汁、豚足、昆布を入れ、塩で吸物味に調える(しょうゆを使う場合はごく少量=イラブーのにおいを消してしまう)。
- ⑩器に豚足、昆布、イラブーを盛り、汁を注ぐ。
- ラフテー
- 豚三枚肉の角煮。砂糖、醤油、泡盛で味付ける
ラフテー
- ■ 材料
- 豚三枚肉 700g
- かつおだし 4 1/2C
- (または豚だし)
- 泡盛 1C
- 砂糖 1/2C
- 醤油(濃口)
- 醤油(薄口)
- 合わせて1/3C~1/2C
- ■ 作り方
- ①豚三枚肉は直火で皮を軽く焼き、さっと熱湯を通す。
- ②厚手鍋に湯を入れ、沸騰したら①を塊のまま皮を上にして入れ、浮いてくるアクをすくいながら、弱火で1時間半位茹で、汁ごと冷ます(冷ましながら、肉に押しをして、形を整える)。
- ③②の肉を4~5cm角に切りそろえる。
- ④厚手鍋に分量のだし、泡盛を入れて火にかけ、③の肉を入れて1時間位弱火で煮る(浮いてくるアクと脂をすくい取る)。
- ⑤次に砂糖を加えて1時間位、さらに醤油の半量を入れ、更に2時間煮る。最後に残りの醤油を入れ、更に2時間煮る。
- ⑥ラフテーが箸で切れる位になったら火を止める。
※蓋はしないで煮る
●かつては保存食であったが、今は高級客膳料理。
●味噌で煮込んだものは「味噌煮豚」という。
●類似の料理に中国の「東坡肉」、長崎の「豚角煮」がある。
●臘火腿の字があてられている。
- ターンム(田芋)ディンガク
- 田芋を甘くねっとり仕上げた祝料理
ターンム(田芋)ディンガク
- ■ 材料
- ターンム(田芋) 300g
- 湯 1C
- 砂糖 40g
- みりん 大さじ1/2
- 塩 少々
- ■ 作り方
- ①ターンムは2cm位の角切りにし、熱湯で5分程度茹でてアクを取り、茹でこぼす。
- ②鍋に熱湯1Cとターンム、砂糖を入れ、火にかけてターンムがやわらかくなったら、みりん、塩を入れて弱火にかけて時々しゃもじで混ぜる。
- ③混ぜているうちにターンムの角が取れ、汁がねっとりし、ターンムが半分潰れた位にして仕上げる。
●田芋は香りと粘りが特徴の沖縄の特産品。
●子孫繁栄を意味し、祝料理には欠かせない。
●仕上げに生姜やみかんの皮のみじん切りを散らすこともある。
- ドゥルワカシー
- 田芋、田芋のずいき、豚肉などを豚だしで練り上げた料理
ドゥルワカシー
- ■ 材料
- ターンム(田芋) (正味)150g
- タームジ(田芋のずいき) (正味)150g
- 豚三枚肉 35g
- 干し椎茸 1枚
- カステラかまぼこ 20g
- 豚だし 3/4C
- ラード 大さじ1/2
- 塩 少々
- ■ 作り方
- ①タームジは洗って、セロリの筋を取るように皮をむき、3cmの長さに切り、しばらく水につけてアク抜きをする。熱湯で軟らかく茹でて、充分に水気を絞る。
- ②ターンムは皮をむいて7mm~8mmの輪切りにし、5分位茹でて、水気を切る。
- ③豚三枚肉は丸ごと茹でて5mm角に切る。
- ④椎茸は水で戻し、5mm角に切る。カステラかまぼこも5mm角に切る。
- ⑤鍋にラードを熱し、豚三枚肉を炒めて脂が出たらタームジ、椎茸、ターンムを炒め、豚だしを加えてしゃもじで練りながら煮る。
- ⑥十分に練り,しゃもじで持ちあがる位になったら、カステラかまぼこを加え、塩で味を調える。
■タームジはアクが強く、素手で触るとかぶれるので、ビニール手袋を使うようにする。
■味噌味で仕上げることもある。
■彩りにグリーンピースを加えることもある。
●タームジと具の割合は、首里風はタームジが多く、那覇風はターンムが多いといわれていた。
●用いられている食材の味が混ざり合って深みのある味わいを生み出す。(アジクーター)を代表する料理。
●ターンムは親芋の周りに子芋を作ることから、子孫繁栄を意味し、縁起の良い食べ物とされ、出産祝いを始め、祝い料理には欠かせない。
- クーブマチ(昆布巻き)
- 魚をクーブ(昆布)で巻いて煮込んだ料理
クーブマチ(昆布巻き)
- ■ 材料
- 昆布 2枚
- メカジキ(1.5cm角の棒状) 8本
- かつおだし 2 1/2C
- 酒 大さじ3
- 砂糖 大さじ3
- 醤油 大さじ3
- ■ 作り方
- ①昆布はよく洗って戻し、水気を切って1本を5~6等分(18cm位)に切り揃える。
- ②魚を芯にして昆布でくるくる巻く。巻き止まりを下にして並べ合わせて竹串で止める。※1
- ③鍋にかつおだしを煮立て、昆布巻の巻き止まり下にして並べ入れ、落し蓋をして10分位しばらく煮る。途中で酒、砂糖、醤油を入れて昆布がやわらかくなるまで30分位ゆっくり煮含める。
- ④両端を切りそろえ、二つ切りまたは斜め切りにする。
※1 沸騰した湯の中にさっと通すと、アクが昆布につかず、きれいに仕上がる。
●重詰料理、東道盆、祝料理などによく用いられる。
●メカジキは、方言でアンダアチー、アチヌイユ、アンダアチヌイユなどと呼ばれる。
- グンボーマチ(ごぼう巻き)
- グンボーを豚肉で巻いて煮込んだ料理
グンボーマチ(ごぼう巻き)
- ■ 材料
- 豚背ロースうす切り(3mm~4mm) 8枚
- グンボー(ごぼう)
- (中太 6cm~8cm) 8本
- かつおだし 1 1/2~2C
- 醤油 40cc
- 砂糖 大さじ4
- みりん 40cc
- ■ 作り方
- ①グンボーは皮をこそげ取り、6cm~8cm位の長さに切り、ゆでて冷ましておく。
- ②豚背ロースは薄く叩きのばしグンボーを巻き、巻き目を下に並べておく。巻き止まりの肉は、より薄くのばすと巻き止まりが吸収され、きれいにできる。
- ③鍋にだしと調味料を煮立て、グンボー巻の巻き目を下にして、落し蓋をして約20分位ゆっくり煮込む。
- ④両端を切りそろえ、二つ切りまたは斜め切りにする。
●重詰料理、東道盆、祝料理などによく用いられる。
- ジーマーミ豆腐
- ジーマーミ(落花生)の絞り汁と芋くずで練り上げて固めた料理
ジーマーミ豆腐
- ■ 材料
- ジーマーミ(生落花生) 1C
- 水 1 1/2C
- 芋くず 1/2C
- 水 1 1/2C
- [かけ汁]
- かつおだし 大さじ3
- 醤油 小さじ2~大さじ1
- みりん 小さじ2
- おろし生姜 少々
- ■ 作り方
- ①生のジーマーミは熱湯につけてふやかし、湯がぬるくなったら皮をむいて洗っておく。
- ②①のジーマーミと分量の水(1 1/2C)をミキサーにかけ、滑らかな液(指で触ってざらつきがない状態)になったら、ボウルに受けて布巾で強く絞る(絞り汁を使う)。※1
- ③芋くずは分量の水(1 1/2C)の水でよく溶きほぐす。
- ④厚手の鍋に②と③を入れて中火にかける。煮立って生のジーマーミの匂いが消えたら、しゃもじで鍋底を絶えず練り混ぜる。
- ⑤30分位練り上げると乳白色の液が粘りとつやが出て、ぼったりと持ち上がるようになったら火を止める。
- ⑥流し缶を水でぬらし、手早く流し入れ、表面を平らになるようにし、周りを冷水につけて冷し固める。
- ⑦小鍋にかつおだし、醤油、みりんを入れてひと煮立ちさせて冷まし、かけ汁を作っておく。
- ⑧器にかけ汁を注ぎ、切ったジーマーミ豆腐を盛り付け、おろし生姜をのせる。
※1 強く絞ると布巾が破れることがあるので、さらしの布巾を2重にして袋を作るとよい。
■練り上がり具合は、氷水に少量落として確かめることが出来る。
●独特の風味と口当たりの良さが特徴。
●落花生は貴重品であったので、特別の日に作られた。
●落花生は土の中に実をつけることから、沖縄では地豆(ジーマーミ)と呼ぶ。
- ミヌダル
- 豚ロースに黒ごまだれをまぶして蒸した料理
ミヌダル
- ■ 材料
- 豚背ロース(6mm~8mm厚さ) 8枚
- [ごまだれ]
- 黒ごま 100g
- 醤油 大さじ4
- 砂糖 小さじ2
- みりん 大さじ4
- ■ 作り方
- ①豚ロースは周りの脂を切り落とす。
- ②黒ごまは煎って、乾いたすり鉢で油が出るまでよくすり、分量の調味料を加え、更にすり混ぜ、どろっとしたごまだれを作る。
- ③①の肉の水気をふき取り、②のごまだれをまぶし、30分~1時間おく。
- ④湯気の上がった蒸し器にクッキングペーパーを敷き、③の豚肉を並べ、始めの2~3分は強火、あとは中火にして約10~15分、肉の厚さに応じて蒸して冷ます。
●重詰料理、東道盆、祝料理などによく用いられる。
●ごまの香りのする高級な料理。
●黒い仕上がりから「クルジシ=黒肉」とも呼ばれる。
- 裏チキチヌク
- 小ぶりの椎茸に魚のすり身を乗せて蒸した料理
裏チキチヌク
- ■ 材料
- 干しチヌク(椎茸)
- (小ぶりのもの) 8枚
- [煮汁]
- かつおだし 1/2C
- 醤油 小さじ1
- 砂糖 小さじ1/2
- みりん 小さじ1
- 魚のすり身(市販品) 200g
- 水 少々
- かたくり粉 小さじ2
- ■ 作り方
- ①干しチヌクは、小ぶりの形のよいものを選び、水で戻して石づきを取り、煮汁で煮て味を含ませて水気をふき取る。
- ②チヌクの裏にかたくり粉を軽くまぶし、魚のすり身を水で固さを調整し、こんもりと形よくのせ、15分位蒸す。
●重詰料理、東道盆、祝料理などによく用いられる。
- クーブイリチー(昆布の炒り煮)
- せん切りの昆布を炒め、具とともに煮込んだ料理
クーブイリチー(昆布の炒り煮)
- ■ 材料
- クーブ(長昆布)または刻み昆布 40g
- 豚三枚肉 100g
- 醤油 大さじ2 1/2~3
- 砂糖 大さじ2 1/2
- 泡盛 大さじ1 1/2
- こんにゃく 80g
- かまぼこ 40g
- サラダ油 大さじ2
- 豚だし 2 1/2~3C
- 塩 少々
- ■ 作り方
- ①クーブ※1は洗って水で戻し、水気を切って、3~4mmのせん切りにする。刻み昆布はざるに入れたまま洗って水に戻し、ちぢれがなくなるまでつける。まっすぐにのびたらもう一度洗って水気を切っておく。
- ②豚三枚肉は丸ごと茹でて、細めの短冊切りにする。
- ③かまぼこ、こんにゃくは細めの短冊切りにする。
- ④小鍋に醤油、砂糖、泡盛を入れて煮立て、豚三枚肉を入れて味を浸透させる(煮汁はとっておく)。
- ⑤鍋に油を熱し、昆布を入れてよく炒め、昆布に油が十分に回ったら豚だしと④の肉の煮汁を加えて落し蓋をしてゆっくり、昆布がほぼやわらかくなるまで煮込む。※2
- ⑥④の豚三枚肉、こんにゃくを加え、更に煮込む。仕上げ前にかまぼこを加え味をなじませる。
※1 長昆布を屏風だたみにし、別の昆布でくるくる巻いて端を爪楊枝で固定して切ると、切りやすい。
※2 豚だしを数回に分けて加えると、より美味しく出来る。
●イリチーとは炒め煮のこと。食材(乾物や根菜類)を十分に炒めて、だしを含ませるように煮込んだもの。
●イリチーは三大調理法の一つとされている。
●主に使う食材を頭につけてウカライリチー(おから)、デークニーイリチー(大根)、スンシーイリチー(メンマ)、グイクイリチ―・グンボーイリチー(牛蒡)、チーイリチー(血)などがある。
●主に晴れの日に作られた。
- パパヤーイリチー
- 未熟の青いパパヤを油で炒め、豚だしで煮る料理
パパヤーイリチー
- ■ 材料
- パパヤー(青いパパイヤ)600g
- 豚三枚肉 100g
- 油 大さじ2
- 豚だし 1C~
- 塩 小さじ1
- 醤油 小さじ1
- ■ 作り方
- ①パパヤーは皮をむいて種を取り、シリシリー(目の粗いおろし金)で太めにおろしておく。
- ②豚三枚肉は丸ごと茹でて短冊切りにする。
- ③鍋に油を熱し、豚三枚肉を入れて脂が出たら、パパヤを入れて全体に油がまわるまで炒める。
- ④③に豚だしを入れ、透明になったら、塩と醤油を加え、味をよく浸透させて仕上げる。
■だしを数回に分けて加えた方がより美味しく出来る。
●パパヤーのアクが気になる場合は、皮に竹串で穴をあけ、しばらく水につけるとよい。
●青いパパヤーはイリチー、ンブシー、汁物、煮物、漬物などに使われる。
●パパヤーにはタンパク質分解酵素が含まれているので、肉と一緒に煮込むと肉が軟らかくなる。
●パパヤーは、パパヤ、マンジューウィとも呼ばれる。
- ゴーヤーチャンプルー
- ゴーヤー、焼き目をつけた豆腐、豚肉を炒めた料理
ゴーヤーチャンプルー
- ■ 材料
- ゴーヤー(にがうり)400g
- 島豆腐 300~400g
- 豚三枚肉 120~160g
- 卵 2個
- 炒め油またはラード 大さじ2~
- 塩 適量
- ■ 作り方
- ①豚三枚肉は丸ごと茹でて、短冊切りにする。
- ②豆腐は水気をふき取り、手で大きくちぎっておく。
- ③ゴーヤーは洗って縦二つ割りにし、スプーンで種とわたを取り除き、薄切りにする(軽く塩を振ってもよい)。
- ④フライパンに大さじ1の油を加えて強火で熱し、豆腐を入れ、アカヤチー(焼き目がついた状態)にして皿に取る。
- ⑤④のフライパンに残りの油を加えて、豚三枚肉を炒め、③のゴーヤーを入れて炒めて塩で味を調え、④の豆腐を加える。
- ⑥⑤に溶き卵を流し入れ、全体に混ぜ合わせて、仕上げる。
■チャンプルーは、焼き目をつけた豆腐と季節野菜の炒めもの。水っぽくなく、からりと仕上げる。
●チャンプルーは三大調理法の一つとされている。
●主に使う野菜の名前を頭に付けて、マーミナチャンプルー(もやし)、タマナーチャンプルー(キャベツ)、ラッチョウチャンプルーなどがある。
- ラッチョウ(島らっきょう)チャンプルー
- 香り高い島らっきょうのチャンプルー
ラッチョウ(島らっきょう)チャンプルー
- ■ 材料
- ラッチョウ(島らっきょう)(正味)200g
- 塩 小さじ1/2
- 島豆腐 200g
- 油 大さじ2
- 塩 小さじ1/2
- 卵 2個
- ■ 作り方
- ①ラッチョウは薄皮と根を取り洗って、ななめ切りにし、うす塩をする。
- ②豆腐は水気をふき取り、手で大きくちぎっておく。
- ③フライパンに大さじ1の油を加えて強火で熱し、豆腐を入れ、アカヤチー(焼き目がついた状態)にして皿に取る。
- ④③のフライパンに油を足し、ラッチョウを強火で手早く炒め、豆腐を加えて塩で味を調える。
- ⑤最後に溶き卵を流し入れ、全体に混ぜ合わせて仕上げる。
●島らっきょうは春先から出回る季節感のある野菜。
●シャキシャキした歯ざわりとさわやかな香りが特徴。
●島らっきょうは浅漬け、天ぷらなどに用いられる。
- ソーミン(そうめん)タシヤー
- そうめんの炒めもの
ソーミン(そうめん)タシヤー
- ■ 材料
- ソーミン(そうめん)2束
- 塩 小さじ1/2
- 油 少量
- 油 大さじ1
- 青ねぎ 適量
- ■ 作り方
- ①ソーミンはたっぷりの熱湯にほぐして入れる。再び沸騰してきたら、間もなくザルにとって一気に水にさらし、水気をきる。油をまぶしておく。
- ②青ねぎは小口切りにする。
- ③鍋にサラダ油を熱し、ソーミンを手早く炒め、塩で味を調え、全体によく混ぜて青ねぎを散らして仕上げる。
●ソーミンタシヤーはさらっとした仕上がりで、ソーミンプットゥルーは澱粉質の出た少し粘りのある炒め物。
●ツナ缶、肉、かまぼこなどを入れることもある。
- ンスナバー(ふだん草)ンブシー
- ンスナバー、豆腐、豚肉を味噌とだしで煮込んだ料理
ンスナバー(ふだん草)ンブシー
- ■ 材料
- ンスナバー(ふだん草)800g
- 豚三枚肉 80g
- 島豆腐 300g
- 豚だし 1C強~
- 味噌 大さじ4~
- 油 大さじ1 1/2
- ■ 作り方
- ①豚三枚肉は丸ごと茹でて、短冊切りにする。
- ②ンスナバーは葉と軸を別々にしっかり茹で、4cm長さに切って水気を絞る。
- ③鍋に油を熱し、豚三枚肉を入れて脂が出てきたらンスナバーを入れて炒める。
- ④③に分量の豚だしを入れて味噌を加える。途中、豆腐を手で大きくちぎって加え、全体に味が浸透したら、少し汁気を残して火を止める。
●ンブシーとは季節野菜、島豆腐、豚肉を味噌で煮物と汁物の中間位に仕上げたもの。
●ンブシーは三大調理法の一つとされている。
●見た目、味の濃さからあまり作られなくなったが、野菜を摂取するには良い料理なので、味噌の量を加減するとよい。
●主に使う野菜の名前を頭に付けて、ゴーヤーンブシー、ナーベーラーンブシー(へちま)などがある。
- ゴーヤーンブシー
- ゴーヤー、豆腐、豚肉を味噌とだしで煮込んだ料理
ゴーヤーンブシー
- ■ 材料
- ゴーヤー 600g
- 豚三枚肉 200g
- 島豆腐 300g
- 油 大さじ2
- 豚だし 2C
- 味噌 100g
- ■ 作り方
- ①豚三枚肉は丸ごと茹でて、大きめの短冊切りにする。
- ②ゴーヤーはきれいに洗い、縦二つ割りにしてスプーンでわたと種を取り除き、横2cm幅に切る。
- ③鍋に油を熱し、豚三枚肉、ゴーヤーを入れて全体に油がゆきわたるまで炒める。
- ④③に豚だしを加えて、中火で煮る。
- ⑤④に味噌を入れてゴーヤーが軟らかくなるまでさらに煮る。途中で、豆腐を手で大きくちぎって加える。目安はゴーヤーと味噌が一体になってとろみと艶が出たら、少し汁気を残して火を止める。
■だしを数回に分けて加えた方がより美味しく出来る。
●ンブシーとは豚肉、豆腐、野菜を味噌で煮込んだ少し汁気の残った煮物。
●家庭料理の代表格。
●ナーベーラー(へちま)、ンスナバー(ふだん草)などで作られる。
- ミミガ―(耳皮)さしみ
- 豚の耳を茹で、せん切りにした和え物
ミミガ―(耳皮)さしみ
- ■ 材料
- ミミガー(耳皮)(市販品)70g
- 塩 適量
- きゅうり 50g
- もやし 50g
- [ピーナッツ酢]
- ピーナッツバター 25g
- 白みそ 30g
- 砂糖 大さじ1/2
- 塩 小さじ1/2
- 酢 大さじ2
- ■ 作り方
- ①ミミガーは強い塩をしてしばらくおく。軽く茹で、さらに水でよくもみ洗いし(塩気、脂気、臭みを取る)水気を切る。
- ②きゅうりは洗って、斜めのせん切り、もやしは洗ってさっと茹で、水気を切って冷ます。
- ③分量の調味料を合わせてピーナッツ酢を作る。
- ④食べる直前にボウルに耳皮、きゅうり、もやしを混ぜ合わせ、③のピーナッツ酢で和える。
■きゅうりは、板ずりまたは塩をふることで、あらかじめ水分を切っておくことが出来る。
●耳皮は耳そのものを指し、皮だけを指すものではない。
●耳そのものから作る場合、耳皮は皮を直火で焼いて毛をこそげ、きれいに洗って、爪が立つ位まで約30分位茹でる
●耳皮には軟骨も含まれ、コリコリした食感が特徴。
- ハンダマ(水前寺菜)エーイ
- ハンダマの酢味噌和え
ハンダマ(水前寺菜)エーイ
- ■ 材料
- ハンダマ(水前寺菜)200g
- [酢味噌]
- 白味噌 大さじ2 1/2
- 砂糖 大さじ1弱
- 酢 大さじ1弱
- みりん 少々
- ■ 作り方
- ①ハンダマは葉を摘み取り、たっぷりの熱湯でしんなりするまで茹で、冷水に取る。
- ②水気を取り、食べやすい大きさに切る。
- ③分量の調味料を合わせて酢味噌を作る。
- ④②のハンダマを③の酢味噌で和える。
●酢の物、和え物を表す言葉にウサチ、ウセー、エーイ、ウェームン、サシミがある。
●ハンダマは葉の裏側がきれいな赤紫の色のものを選ぶと良い。
●ハンダマは「血の薬」といわれ、貧血予防に効くといわれている。
- かまぼこ
- 琉球料理には欠かせない高級食材。暑い土地での魚の保存方法として定着した沖縄独特のかまぼこ
かまぼこ
- ■ 材料
- [かまぼこ生地]
- 魚(すり身にして)200g
- 塩 小さじ1/2
- 砂糖 大さじ1/2
- みりん 大さじ1
- 卵白 1/2個分
- かたくり粉 大さじ1
- 水 約大さじ2
- ■ 作り方
- ①魚は三枚におろし、血合い、小骨などを丁寧に取り除き、スプーンで身をこそげ取る。
- ②①をまな板の上でたたき、すり鉢に入れ、粘りが出るまでよくすり混ぜる。
- ③②に分量の塩を入れ10分位すり混ぜた後、砂糖、みりん、卵白、かたくり粉を順に入れてさらによくすり混ぜ、水を少しずつ加えながら、なめらかになるまですり混ぜ適当な堅さに調える。
- ・この生地をベースに色々なかまぼこが出来る。
- ①赤かまぼこ
- ②カステラかまぼこ
- ③揚げかまぼこ
- ④白かまぼこ
- ⑤シシかまぼこ
- ⑥からし菜入りかまぼこ
- ⑦チキアギー
●行事料理には欠かせないもので、赤白かまぼこ、カステラかまぼこ、チキアギー(つけ揚げ)などがある。
- からし菜入りかまぼこ
- 魚のすり身にからし菜の色と香りをつけたかまぼこ
からし菜入りかまぼこ
- ■ 材料
- 魚のすり身(市販)(正味)300g
- からし菜の葉 150g
- 水 50cc~
- ■ 作り方
- ①からし菜は洗って、葉を細かく刻んで、ミキサーに水を入れて撹拌し、絞って青汁を作る。
- ②魚のすり身に①の青汁を入れてすり鉢ですり、緑の色に着色する。
- ③ラップを敷き、③のすり身をかまぼこ型に整え、初めの2~3分は強火、あとは中火にして30分位蒸す。
■からし菜は色の濃いものが望ましい。
■魚からすり身を作る場合は、水の代わりにからし菜の濃い絞り汁を使うとよい。
■着色の加減は熱湯に生地を少量落として確かめることが出来る。
■緑かまぼことも呼ばれる。
●重詰料理、東道盆、祝料理などによく用いられる。
●彩りの少ない琉球料理の中で彩やかな緑色の高級なかまぼこ。
- シシ(肉)かまぼこ
- 豚背ロースのすり身と魚のすり身で作る高級なかまぼこ
シシ(肉)かまぼこ
- ■ 材料
- 豚背ロース(正味)150g
- 塩 小さじ1/2
- 砂糖 大さじ1/2
- みりん 大さじ1
- 卵白 大さじ1
- かたくり粉 大さじ1
- 水 25cc
- 食紅 少々
- 魚のすり身(市販)150g
- ■ 作り方
- ①豚背ロースは細かく切って叩く。これをすり鉢に入れ、粘りが出るまでよくすり混ぜ、分量の塩で粘りを出し、分量の調味料を入れて(砂糖、みりん、卵白、かたくり粉の順)再びすり混ぜる。※1
- ②①の中に水を少しずつ加減しながら加えて、なめらかになるまですり混ぜて、肉のすり身を作る。
- ③肉のすり身に魚のすり身の半量を混ぜ合わせ、水溶きの食紅を少量入れて、淡紅色に色づけする。
- ④巻きすにラップを敷き、③の色づけた肉のすり身をのせ、長方形に平らにのばす。
- ⑤④の上に魚のすり身を重ねて平らにのばして手前からうずまき状に巻き、端を輪ゴムで止める。この時うずまきが「の」の字になるように蒸し器にセットする。
- ⑥湯気の上がった蒸器で初めの2~3分は強火、あとは中火にして約40分位蒸す。蒸し上がったら、7mm~1cmに切って「の」の字に盛り付ける。
ハンビン(半紅)
類似のものにハンビン(半紅)がある。
ハンビンは豚ロースのすり身に魚のすり身を重ねて巻いたもの。
※1 フードプロセッサーでも出来る。
■それぞれのすり身をラップで大きさを決め、包み込んでめん棒でのばすと作りやすい。
■豚すり身の着色加減は熱湯に生地を少量落とすことで確認出来る。
●重詰料理、東道盆、祝料理などによく用いられる。
●手の込んだかまぼこで最高級な一品。
- クティンプラ(小天ぷら)
- 棒状の白身魚の天ぷら
クティンプラ(小天ぷら)
- ■ 材料
- 白身魚(メカジキ)200g
- 塩 少々
- [衣]
- 卵 1個
- 塩 小さじ1
- 薄力粉 1C
- 水 大さじ3~4
- 揚げ油 適量
- ■ 作り方
- ①白身魚(メカジキ)は1~2cm角、長さ7cm位の棒状に切り、薄塩をしておく。
- ②卵、塩、水、薄力粉で衣を作る。
- ③①の水気を拭き、小麦粉を薄くまぶす。衣をつけて中温の油であげる。
- ④両端を切りそろえる。
※卵黄のみでつくることもある。
●重箱料理、東道盆、祝料理などに用いられる。
●魚を2.5~3cm角の棒状にしたものはウー(大)ティンプラという。
●天ぷらは昔、フクミンともいわれていた。
- ターンム(田芋)のから揚げ
- 田芋をから揚にし、甘辛いつけ汁にくぐらせたもの
ターンム(田芋)のから揚げ
- ■ 材料
- ターンム(田芋)大2個
- [つけ汁]
- 水 大さじ1
- 醤油 大さじ4
- 砂糖 大さじ4
- 揚げ油 適量
- ■ 作り方
- ①分量の調味料を合わせて一煮立ちさせ、つけ汁を作る。
- ②ターンムは皮をむき、好みの形に切り、熱した揚げ油でカラリと揚げ、揚げたてをつけ汁にさっとくぐらせる。
■長方形ではなく半月切りのものもある。
- ンムクジ(芋くず)アンダーギー
- さつま芋と芋くずで作る揚げ物
ンムクジ(芋くず)アンダーギー
- ■ 材料
- さつま芋(正味)150g
- ンムクジ(芋くず)100g
- かつおだし 70~80cc
- 塩 小さじ1弱
- にら(青い部分のみ)20g
- 揚げ油 適量
- ■ 作り方
- ①さつま芋は洗って、3~4等分位の輪切りにして厚めに皮をむき、正味150gを水につけてアク抜きをし、蒸す。
- ②熱いうちに裏ごしにかけ、またはつぶす。
- ③にらは洗って水気を切り、5mm位に切っておく。
- ④分量のだしで塩を溶かしておく。
- ⑤ボウルにンムクジを入れ、④のだしを少しずつ加えて練り混ぜ、①のさつま芋を加えて程よい硬さに練る。
- ⑥⑤ににらを加え軽く混ぜ合わせる。
- ⑦⑥を一握り取って、丸く団子状にして、小判型に整え、3本の指型をつける。
- ⑧揚げ油を中温(170度)に熱して⑦を入れ、浮き上がってきたら返して1~2分ほど揚げ、カリッと仕上げる。
■生地が軟らかすぎた場合は、芋くずはこし網でこし、粉状にして使うとよい。
●冷えると味が落ちるので、温かいうちに食べるとおいしい。
- 東道盆(トゥンダーブン)
- 豪華な漆器の前菜入れ、または中に盛り付けた料理を指す
東道盆(トゥンダーブン)
東道盆は中国から伝えられたといわれる食籠の一種です。 中国で〈東〉は主人を意味し、〈東道〉はお客に対する主人役を意味することから、〈東道盆〉は客を接待する時ごちそうを盛る盆のことを意味します。琉球漆器の代表的な器で堆金、蒔絵、螺鈿などで作られ、形は円形、四角形、六角形、八角形があります。猫足で、内側は朱塗りか染付の皿が中央に一個、周囲に角数個入っていて中央を合わせて奇数個になります。中に盛り付けるものには決まりはありませんが、上質の乾肴が用いられます。なお、器そのものも、料理を盛ったものも東道盆といわれます。
■料理それぞれの盛り付ける数は客の人数に合わせる。
- 花いか
- クブシミに複雑な切り込みを入れて茹で、美しくはじかせたもの
花いか
- ■ 材料
- クブシミ(甲いか)
- 塩 適量
- 食紅 少々
- 酢
- 醤油
- ■ 作り方
- ①クブシミは1枚に開いて、うす皮を残して皮を取り除き、きれいに洗う。
- ②クブシミの両面に塩をして身をしめる。
- ③クブシミをさく取り(右図参照)する。
- ④よく切れる包丁で切り込みを入れる。
- ⑤④の切り込みがくっつかないように、切り込みの部分を水の中で丁寧に洗い、ぬめりを取る。
- ⑥⑤を茹ですぎない程度に茹でる。切り込みのはじけ具合を確認し不足していたら包丁を入れる。
- ⑦食紅を水どきして煮立たせ、⑥のクブシミを入れてむらのないように赤く染める。染めずに白いまま使ってもよい。
- ⑧⑦を立てるようにして乾かし、7mm位の厚さに切り、酢醤油をそえて供する。
■いかは上下方向に曲がる性質がある。
■横向きに強い繊維がある。
■身の厚いクブシミ(甲いか)に複雑な切込みを入れてゆでるとはじけていろいろな形になる。
●重詰料理、東道盆、祝料理などによく用いられる。
●包丁技術が映える一品で、昔は色々な切り方があった。
花いかの切り込み方
繊維に沿ってさく取り
表から切り込む。茹でると自然にはじけて湾曲する。
- 鶏卵糕(チールンコウ)
- 赤く染めた落花生とチッパンを加えた卵のたっぷり入った蒸し菓子
鶏卵糕(チールンコウ)
- ■ 材料
- [12cm×21cm×6cmの木枠1個分]
- ※紙のケーキ型可
- 薄力粉 105g
- 上白糖 105g
- 全卵 2個
- 卵黄 2個
- サラダ油 大さじ1
- 生落花生 10粒
- チッパン(桔餅)1/3~1/2個
- 食紅 適量
- ■ 作り方
- 【木枠に紙を敷き、蒸し器の中に入れておく。】
- ①生の落花生は熱湯にしばらくつけて皮をむき、水溶きの食紅の液で煮て赤く染める。染めた後、水気が乾いたら薄切りにする。
- ②チッパンは周りの砂糖衣を取り除き、みじん切りにする(砂糖衣のついていないものも販売されている)。
- ③①と②の一部を飾り用に分けておく。
- ④ボウルに全卵と卵黄を溶きほぐし、ふるいにかけた上白糖を加えて10分間位よく泡立てる(たてはじめに湯煎にし人肌に温めてからたてるとよい)。
- ⑤④に振るった薄力粉を加えて混ぜ、粉気がなくなったら、サラダ油を加えて混ぜ、落花生とチッパンを入れて、全体に散らばるように混ぜる。
- ⑥木枠を蒸し器に入れて生地を流し入れ、上に③の飾り用の落花生とチッパンを散らし、湯気の上った蒸し器で25分位蒸す。
●琉球王朝菓子の一つ。
●中国の菓子「鶏蛋糕」(チータンカオ)から伝えられたと思われる。
●赤い落花生が華やかで、祝いの菓子に使われる。
●チッパン 柑橘類の皮を砂糖で煮詰めた王朝菓子の一つ。沖縄の特産品。
- 花ぼうる
- カッティングの美/江戸も席けんした焼き菓子
花ぼうる
- ■ 材料
- 卵黄 2個
- 上白糖 卵黄と同量
- 薄力粉 90~100g
- ベーキングパウダー 小さじ1/2
- ■ 作り方
- ①ボウルに卵黄を入れてよく溶いてからふるいにかけた上白糖を入れ、良く混ぜる。
- ②小麦粉をふるいにかけて①に加え、混ぜ合わせる。生地の硬さを包丁目がたつ位に調える。
- ③まな板に打ち粉をして、下図の様に切り込み、成形※1して、オーブンで150℃約15分焼く。
※1 花ぼうるの切り方
- 光餅(クンペン)
- 卵黄、小麦粉、砂糖で作る皮でごま餡を包んだ焼き菓子
光餅(クンペン)
- ■ 材料
- [皮]
- 卵黄 2個
- 上白糖 卵黄と同量
- 薄力粉 80~100g
- ベーキングパウダー 小さじ2/3
- [ごまあん]
- 白ごま 20g
- チッパン(桔餅)1/4個
- グラニュー糖 25g
- ■ 作り方
- ①皮を作る。
- ボウルに卵黄を入れてよく溶いてからふるった上白糖を入れ、よく混ぜ、小麦粉をふるいにかけて加え、混ぜ合わせて、6等分する。
- ②ごまあんを作る。
- 白ごまは炒ってすり鉢でにぎれる位まですり、グラニュー糖、刻んだチッパンを入れてよく混ぜ、6等分にして丸めておく。
- ③①の皮で、②のごまあんを包み、扁平な円形に整え150度のオーブンで約12分間焼く。
■焼き上げた後すぐに密封容器に入れるとしっとりする。
●琉球王朝菓子の一つ。
●王朝菓子は卵黄のみで作られている。
●慶弔両方に使われる。
- チンスコウ
- ラード、小麦粉、砂糖で作る焼き菓子
チンスコウ
- ■ 材料
- 薄力粉 100g
- 上白糖 75g
- ラード 50g
- ■ 作り方
- ①薄力粉、上白糖はふるっておく。
- ②ボウルにラードを入れ、しゃもじで滑らかになるまで混ぜ上白糖を加え空気を含ませるようによく混ぜる。
- ③②に薄力粉を加え、スケッパーで切るように、粉とラードを混ぜ、そぼろ状にする。
- ④③を型で抜くか、手で形を整え、150度のオーブンで約30分焼く。
●琉球王朝菓子の一つ。
- サーターアンダーギー
- 卵、砂糖、小麦粉で作る球形の一方が割れた揚げ菓子
サーターアンダーギー
- ■ 材料
- 卵(M)2個
- グラニュー糖 115g
- 薄力粉 200~220g
- ベーキングパウダー 小さじ2
- サラダ油 小さじ2
- 揚げ油 適量
- ■ 作り方
- ①薄力粉とベーキングパウダーを一緒に振るっておく。
- ②ボウルに卵を割りほぐし、グラニュー糖を加えて泡立てないようにしながら混ぜ合わせる。
- ③②に①の薄力粉を加えて混ぜ、サラダ油を加えてさらに混ぜる。
- ④手にうっすらと水または粉をつけ、直径3~4cm位に丸めて、160度前後の油の中に静かに入れる。
- ⑤始めは底に沈んでいる種が、ゆっくりと(20~30秒)浮き上がり、自転をしながらふくらみ、1ヶ所が割れてチューリップ型に開く。
- ⑥きつね色になり、竹串をさして生の生地がついてこなければ出来上がり。
●中国より伝えられた菓子と思われ、中国菓子に「開口笑」(かいこうしょう)、「開口球」(かいこうきゅう)がある。
●アンダーギーは天ぷらの衣のような生地を揚げたものを指すので、芯(魚など)に衣をつけてあげる天ぷらとは違う=ンムクジアンダーギー、白アンダーギー。
- ナットゥンスー
- 味噌とヒハツを加えた香り高い餅
ナットゥンスー
- ■ 材料
- もち粉 1 1/2C
- 砂糖(ざらめ)3/4C
- 水 1/2C
- 赤味噌 50g
- ピーナッツバター 大さじ1
- ヒハツ(香辛料)小さじ1/2
- 生落花生 8粒~
- サンニンの葉
- ■ 作り方
- ①分量のざらめと水を煮とかし、冷ましておく。
- ②もち粉とヒハツの粉を混ぜ合わせる。
- ③ボウルに②のもち粉を入れ、①の砂糖蜜を少しずつ入れて練り混ぜ、耳たぶ位にまとめて、味噌、ピーナッツバターを加えて十分練り混ぜる。
- ④③の生地をサンニン(月桃)の葉の裏側にのせ、厚さ1cm位に長方形に整えて、上に生の落花生(二つ割りにしたもの)を四弁の花ビラのように飾る。
- ⑤湯気の上がった蒸し器で、はじめ2~3分は強火、後は中火にして約40分蒸す。
■白ごまをふりかける場合もある。
●正月のお茶うけとして用いられる。
●辻遊郭発祥の菓子といわれている。
- チンビン
- 小麦粉を黒砂糖液で溶いた薄焼きをくるくる巻いたもの
チンビン
- ■ 材料
- 薄力粉 200g
- ベーキングパウダー 小さじ1
- [黒砂糖液(2C)]
- 黒砂糖(粉)1 1/2C
- 水 1 1/2C
- ■ 作り方
- ①薄力粉とベーキングパウダーを一緒に振るっておく。
- ②鍋に分量の水と黒砂糖を入れて火にかけ、沸騰したらアクを取って火を止め、冷ましておく。(黒糖液は2カップ計っておく。)
- ③ボウルに①の小麦粉を入れ、冷ました黒砂糖液を加えながらよくかき混ぜ、生地を作る。(だまができたらこし網を通す)
- ④よくなれたフライパンに油を薄くしき(油のついた紙でぬぐう位)、白煙が立つ位になったらフライパンを回しながら玉杓子で生地を流す。
- ⑤表面にプツプツ穴があき、表面が少し乾いたら裏返して焼く。
- ⑥⑤を最初に焼いた面が外になるようにして、手前からゆるやかにくるくると巻く。
●表面にブツブツ穴の開いたのが良い焼き方。
●王朝菓子の一つ。薩摩の殿さまに献上した記録がある。
●ポーポーとは別物で、赤ポーポーという呼び名は間違い。
- ポーポー
- 水どきの小麦粉の薄焼きにアンダンスー(油味噌)を芯にくるくる巻いたもの
ポーポー
- ■ 材料
- 薄力粉 200g
- ベーキングパウダー 小さじ1
- 水 1 3/4C強
- [アンダンスー(油味噌)]
- 豚肉 70g
- 甘味噌 100g
- 砂糖 大さじ2~3
- 生姜 5g
- 油 適量
- ■ 作り方
- 【アンダンスー(油味噌)の作り方】
- ①豚肉は丸ごと茹でてみじん切りにする。
- ②生姜はみじん切りにする。
- ③フライパンに油を熱し、豚肉を炒め、甘味噌、砂糖を加えて炒め合わせ、おろし際に生姜のみじん切りを混ぜ合わせる。(砂糖は味噌の種類により加減する)
- 【ポーポーの作り方】
- ①薄力粉とベーキングパウダーは一緒に振るっておく。
- ②ボウルに①の薄力粉を入れ、分量の水を加えながらよくかき混ぜ、なめらかな生地を作る。(だまが出来たらこし網でこす)
- ③よくなれたフライパンに油を薄くしき、フライパンを回しながら玉杓子で生地を薄めの円形に流し入れる。
- ④表面が乾いたら裏返して軽く焼く(表面にちりめんじわが出来る)
- ⑤④を最初に焼いた面が下になるようにまな板に取り、手前1/4を折り曲げて、その上に油味噌をのせ、手前からゆるやかにくるくると巻く。
●表面に細かいちりめん皺ができたのが良い焼き方。
●ポーポーは菓子ではなく料理の一つ。昔はつけ汁を付けて食べていた。
- 人参シリシリー
- シリシリーとは、すりおろす動作や、すりおろす時の音の「すりすり」を表す沖縄県の方言。
人参シリシリー
- ■ 材料(4人分)
- 人参 1本(250g~300g)
- 油 大さじ1
- 塩 小さじ1
- 鰹だし汁 ≒50cc
- 卵 2~3個
- ■ 作り方
- ①人参は皮をむき、シリシリ器(またはスライサー)の道具ですり下ろす。(または千切りにする。)
- ②フライパンに油を熱し、1 の人参を入れ炒め、塩と鰹だしを加えて好みのかたさまで炒める。
- ③溶き卵を全体に回し入れ、混ぜて全体に火を通す。
歴史・由来・関連行事
●シリシリーとは、すりおろす動作や、すりおろす時の音の「すりすり」を表す沖縄県の方言。
●現代版アレンジとして、ツナ缶などを入れることもある。